低所得者の手

借りた漫画を、返しに行く途中

「もうすぐ、ハロウィンだね。どこか行こ」
仕事のない日は、最近バイトを入れている。今までだったら断っていた。

「じゃあ、東京渋谷で騒ぐ」
「、、、」

「ホテルのランチ」
「いいね!」
「いろんなもの食べれるし」

イベントごとなんかどうでも良かった。春だろうが夏だろうか秋だろうが冬だろうが仕事して帰って寝る。別に友達もいないし、それで良かった。というより仕方なかった。

ただ最近は、何のために生きているのと考えるようになった。
少なくとも会社のために生きているわけではない。
別に特別なことする必要はない。お金だってかけなくていい。ただ季節を、感じる心のゆとり位は、あっていいと思う。

最近呼んだ本に、インターネット旅行ってのがあった。
インターネットで検索してそこに、いった気分になる旅行だとお金も、時間も、体力も、いる。
旅行で楽しいと、感じるのは、旅行している時ではなく。帰って思い返す時らしい。だからこんなことでもいいと思う。




手、
ざらざらだね。

低所得者の手だよ」
「仕事頑張っている手だよ。」

「賢かったら、こんな手じゃないパソコン使ってオフィスで、会議。でも自分は、バカだからそれが出来ないだけ」

「はい始まりました。自虐演説。皆さんここに嘆いている人間がいます。慰めてあげてくれませんか」

「まあ頑張りたまえ、底辺くん」

手を、強く握って言った。

「仕事も、ほとんど休まない。酒も、タバコも、ギャンブルもしない。ただ愚直に、仕事頑張っている。
人生に、立ち向かっている。」

だから、ついて来てる。どこからどうみたって無敵なんだからね。

あっ、
「信号赤に、変わった。」
「ねぇ悔しがって」

僕は悔しい表情をした。
「10点」

「なんで?」

「悔しがるのは、こうするんだよ。」
地団駄を、踏んだ

「10点」

「何で?」

「こんたことで地団駄踏む人は、いない。」